今夜、きみの手に触れさせて


「あのさー、一ノ瀬殴ってこうかな」


待ち合いのベンチに並んで座ってたら、突然ポツリと修吾が言った。


「は? めずらしーこと言うね」




修吾はケンカには強いけれど、自分から仕掛けることは、まずない。


売られたケンカは買うけど、負けねーから仕返しもしねーし。




「ずっと考えてたんだ……。だってムカつくだろ? なんで純太なんだよ。この前のリベンジならオレをやればいい」


わりとマジで修吾は怒っていた。




「あー、一ノ瀬、お前のこと探してたみたいよ」


「待てよ。じゃあ純太はオレの居どころを言わなねーから、やられたのか?」


修吾は拳をギュッと握った。




「いや……、なんかあいつもいろいろあるみたい。北中の連中とは別行動らしいし、転校するっつってた」


ビミョーに話をずらす。


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