今夜、きみの手に触れさせて


修吾が言うほど遊んでたってわけじゃない。


過去つきあったのは、ほんの数人。


たまたま何かのタイミングが合っちまっただけなんだ。


中には深い関係になった子もいるけど、
びっくりするほど記憶が薄いな……。


顔も定かじゃなかったりする。


そりゃ最長でも2ヶ月ほどしかもたなかったし、本気じゃないのは、こっちも同じだったから……。


たぶん誰でもよかった。お互いに。


心の隙間みたいなものを埋めたかったのかもしれない。




でも、埋まらねーんだよな。


会えば会うほど、淋しさも空しさも、ただ広がるだけだった。




「月島はそういう子じゃねーぞ」


「わかってるよ」


「軽い気持ちで関わると、傷つけるだけだ」




クソ、めんどくせー。




「今度はちゃんと……本気だから」


そう言って、話を終わらせてやった。


お前の望む答なんか、お見通しだ。バーカ。




なのに修吾はガバッと、すごい勢いでこっちを向いた。


< 245 / 469 >

この作品をシェア

pagetop