今夜、きみの手に触れさせて
修吾が言うほど遊んでたってわけじゃない。
過去つきあったのは、ほんの数人。
たまたま何かのタイミングが合っちまっただけなんだ。
中には深い関係になった子もいるけど、
びっくりするほど記憶が薄いな……。
顔も定かじゃなかったりする。
そりゃ最長でも2ヶ月ほどしかもたなかったし、本気じゃないのは、こっちも同じだったから……。
たぶん誰でもよかった。お互いに。
心の隙間みたいなものを埋めたかったのかもしれない。
でも、埋まらねーんだよな。
会えば会うほど、淋しさも空しさも、ただ広がるだけだった。
「月島はそういう子じゃねーぞ」
「わかってるよ」
「軽い気持ちで関わると、傷つけるだけだ」
クソ、めんどくせー。
「今度はちゃんと……本気だから」
そう言って、話を終わらせてやった。
お前の望む答なんか、お見通しだ。バーカ。
なのに修吾はガバッと、すごい勢いでこっちを向いた。