今夜、きみの手に触れさせて


「そりゃよかった」


ヤスはチラッとオレを見た。


「なんか心配なんだよな~。純太、手ー早そーだし」




「別にオレは……」


「なんたって、つきあう前にキスしちゃうんだもんな」


オレの言葉をさえぎって、ヤスは耳元でささやいた。




えっ、昨夜のことか?


と驚いたけど、前に神社で乱闘した日のことを、ヤスはまだカン違いしているらしい。




「まー、キスぐらいならいーけどさ」


なんて言われる。


すると、反対側から修吾が身を乗り出した。


「ヤスはどーなんだ?」


「何が?」


「翔子とは、もうキス以上のこと……しちゃってんの?」




こいつ……なんでこんなに恋バナをしたがる。
キモいぞ。




「まだだよ」


しかしヤスはケロッと答えた。




へぇ~。……ちょっと意外。




「え、そーなのか? お前らもう2年近くつきあってんのに」


と、修吾も予想外だった様子。



< 248 / 469 >

この作品をシェア

pagetop