今夜、きみの手に触れさせて
「まーね」
だけどヤスはあっさりと言った。
「知らねーの? 女の子って大事にしないと壊れちゃうんだぜ」
なんて言って、ヤスは長椅子の背もたれにグッと体を預ける。
「それともお前、責任とれんの?」
ヤスは、修吾ではなく、オレを見てそう言った。
え。
一瞬の沈黙。
ヤスはじっとオレを見て、それからスイッと目をそらした。
何も答えられなかったのは、そんなことを考えて、女の子を抱いたことはなかったから。
「おー……! 渋いな、ヤス」
ヤスの向こう側で、修吾は素直に感動している。
「ま、そんなにやりたいんなら、修吾はしっかり避妊して、すればいーじゃん。人それぞれなんだし」
なんて、ヤスは修吾の肩をポンポンと叩いた。