今夜、きみの手に触れさせて


「えっ? オ、オレは別にそんなつもりで聞いたんじゃねーぞ。り、律は真面目な子なんだからな」


あわてふためく修吾を見て、ヤスは「ブハッ」と吹き出した。


「修吾……。お前、マジわかりやす過ぎ」




「は? オレだって律のこと大切に考えてるしっ」


「うそつけ。その真面目な律ちゃんを、どーにかしたくてたまんねーくせにさー」


「バカッ、そーゆーこと言うなっ」


ハハハッ、修吾は耳まで真っ赤になっている。




「イテッ……。笑わせるなよ、痛いってば」


胸を押さえながら横を見ると、ヤスはゲラゲラ笑っていた。




そーだよ。


普段から、オレらの中で一番チャラそうに見えるのは、ヤスなんだ。


そのヤスが言ったことは、修吾の説教よりもズシンと胸に来た。


自分が今までペラッペラに生きてきたことを突きつけられた気がした。



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