今夜、きみの手に触れさせて
「なぁ修吾」
「ん?」
別のマンガを読んでいる修吾は、そこから目を離さずに、気のない返事をした。
「青依ちゃんの電話番号教えてよ」
「グッ」
あんまり素直にオレが聞いたもんだから、やつはビックリしたみたい。
食べかけのラーメンをのどに詰めて、ゲホゲホと咳込んでいる。
「なんだ、お前聞いてないのか?」
「うん」
マンガもラーメンもほっぽって、修吾はポケットからケータイを取り出した。
「この前の晩、連絡もらったときのが残ってるはずだ」
画面をスクロールして、そこら辺にあった紙に数字をメモする。
「ん」
「ありがと」
ちぎった紙を渡されてオレが礼を言うと、修吾はポカンと口を開けた。