今夜、きみの手に触れさせて


「なぁ修吾」


「ん?」


別のマンガを読んでいる修吾は、そこから目を離さずに、気のない返事をした。




「青依ちゃんの電話番号教えてよ」




「グッ」


あんまり素直にオレが聞いたもんだから、やつはビックリしたみたい。


食べかけのラーメンをのどに詰めて、ゲホゲホと咳込んでいる。




「なんだ、お前聞いてないのか?」


「うん」


マンガもラーメンもほっぽって、修吾はポケットからケータイを取り出した。


「この前の晩、連絡もらったときのが残ってるはずだ」


画面をスクロールして、そこら辺にあった紙に数字をメモする。




「ん」


「ありがと」


ちぎった紙を渡されてオレが礼を言うと、修吾はポカンと口を開けた。



< 255 / 469 >

この作品をシェア

pagetop