今夜、きみの手に触れさせて


「オレ、純太に礼を言われたの初めてだ」


「は? そんなわけねーだろ。何年つきあってんだよ」


「いや、ないない。言われたことないもん」


修吾は思いっきり首を横に振る。


「うそつけ、礼ぐらい言うし。修吾、オレのことなんだと思ってんだ」


あきれて言い返すと、向こうもあきれた顔をしてつぶやいた。


「いや、それはこっちが聞きてーし」




それから修吾は少し真顔になって聞いてくる。


「ってことは純太、あれっきり月島と連絡とってねーの?」


「うん」


「ダメじゃん」


「まー」




だってまだ彼女じゃねーしな。


そーなるかどうかの瀬戸際だってことは、ちょっとだけ自覚している。


だから恥を忍んで修吾に電話番号聞いたんだろーが。



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