今夜、きみの手に触れさせて


そうして――


炊き立てのご飯で食べる純太くんのカレーは絶品だった。


レストランではなくて、家庭の味って感じ。


プチサラダもついていて、彼の器用さとマメさに感心する。




「おいしいね!」


「そっか?」


向かい合ってカレーをほおばりながら、すごく不思議な気持ちになっていた。


なんだかこれ、現実じゃないみたい。




「もうすぐ夏休み終わるね」


何か話さなきゃと思ったら、そんな言葉が口をついて出た。


「あー……」


純太くんは気のない様子。




「始業式までの3日間、毎日遊びに来ちゃおうかな……?」


思い切って聞いてみた。


「え、塾は? 毎日あんだろ?」


「夏休み最後の3日は自由参加なの。学校の宿題が残ってる子たちのために、開けてるって感じ」


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