今夜、きみの手に触れさせて
夜になって、ヤスと修吾が家に来た。
「どした、純太?」
3人でめいめいテレビを観たりマンガを読んだりしていると、不意にヤスに聞かれた。
「何が?」
「なんかお前、今日ポケッとしてない?」
「……してねーし」
「さっきからずっと同じページだぞ、それ」
ヤスはあごでオレの手にあるコミックを指す。
「眠いんだよ。半分寝てた」
ダルそ―――に、そう答えたけど、眠くなんかは全然ない。
夕方あの子が帰っていってから、なぜかずっとこうなんだ。
頭が勝手にあの子のことばかりを思い出している。
「つーか純太、今日の昼間いなかったよな、ここに」
今度は床に転がってテレビを観ていた修吾が顔をあげた。
「いつもなら留守でも開けっぱなのに、鍵がかかってて入れなかったぜ?」
と修吾は怪訝な声を出す。