今夜、きみの手に触れさせて
「あー、でもオレ、それわかるわ」
ヤスまでもが、そんなことを言い出した。
「オレは純太と知り合って2年ちょいだけど、ここ1,2カ月のお前って、スッゲー新鮮」
「何がっ?」
「怒ったり笑ったりするもん」
「は? 怒ったりは普通にしてただろーが」
「してねーしてねー。何言ったってガン無視だったじゃん。『あ、そー』みたいな」
そう言って、ヤスは無表情な顔を作って見せる。
「よかったなぁ、純太」
修吾がしみじみ言うから相当ウザいんだけど、でもまぁ実際そーなのかもな、とは思う。
あの子と会って以来、オレちょっとおかしーし……。
「恋だな」
修吾がボソッとつぶやいた。
「は? うっせー、バカ」
思わず凄んで睨みつけてやった。
「ほらほら、純太がこんなふーにムキになること、今までなかったもんな~」
「な~」
「顔赤くなったりなんか、しなかったもんな~」
「な~」
ヤスと修吾が調子を合わせて、ニコニコ顔を見合わせている。
クソ、こいつら……。