今夜、きみの手に触れさせて


「へ? 純太、学校来るのか?」


ヤスも修吾もカレーを食う手を止めて、ポカンとオレを見ている。




「たぶん」



「たぶんかよ?」
「決めてねーのか?」


「うん。始業式の日の朝……気分で決める」



「は~?」
「なんだ、それ?」


「直前で気が変わるかもしんねーもん」




正直、自信はなかった。


ずっとこのままじゃな~、とは思ってるし、

担任の前川と話して、学校の宿題やって、一応心の準備はしてきたつもりだったけど。




『もうすぐ夏休み終わるね』


そう言ったあの子の顔が、どこか淋しげに見えて、

それがオレの背中を押すなんてこと、
あっていいのかな……とぼんやり考えていた。




今さらどんな顔して登校すればいいのかわかんねーけど、学校へ来たオレを見て、あの子はどんな顔をするのかな……?



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