今夜、きみの手に触れさせて


「お前、ケータイいるんじゃね? 彼女いたら言葉で足りない分、メールは必須だぞ?」


修吾がマジで忠告してくる。


「安くで使えるのだってあるし」


と、やつは付け足した。




「いーよ、別に。口で言うから」


「いや、純太言い方キツイからさ」


「気まぐれだしな」


ヤスまで同調してくる。




「あの子には、ちゃんと優しくしてるし」


オレがボソッとそう言うと、ふたりはジトーッと疑いの目を向けた。




「メールとかめんどくせーって思ってんだろ?」


「思ってねーよ」


「おばさん、むずかしい?」


「いや……」


母親はむしろ『ケータイ持ったら?』って勧めてくる。


『電話代ぐらい大丈夫よ』って。


オレが遠慮してると思っているらしい。




こいつらだって、オレのことマジで心配してくれてるのは、わかってんだ。


ただ……。



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