今夜、きみの手に触れさせて


「成宮くんが運転してたから、兄貴がヘルメットをかぶってたんだ。兄貴が運転してたんなら、成宮くんがかぶってる」


それでも母さんに、これだけは伝えておきたかった。


オレとヤスと修吾と、どう組み合わせてどう想像しても、結果はそうなるから。


ひとつしかヘルメットがないとして、
自分が運転するんなら、後ろに乗っけるやつにメットをかぶせる。




「仲が良かったもんね、あの子たち……。成宮くんのお母さんも同じことをおっしゃってたわ」




え?




「だからお金はいりませんって言ってくださったの。運転してたのは成宮くんだと思うって。


だけどホントのことは誰にもわからないし、補償金は話し合って半分ずつ負担することにしたの。

少しずつしか返せないんだけどね……」


そう母さんは説明した。




そーだったんだ……。




「それに成宮くんのご両親に全部押しつけて知らんぷりしたら……、怒るでしょ?恵介」


そう言って、母さんは少しだけ笑った。



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