今夜、きみの手に触れさせて


そうして、翌日――


13時きっかりに、青依ちゃんはやってきた。




「よ」

「こ、こんにちは」




ドアを開けると、正式にお辞儀をして、トコトコと部屋にあがってくる。


それから青依ちゃんはキッチンの椅子にカバンを置き、いきなり潤んだ目でオレを見あげた。




え?




「ゴ、ゴメンなさい!」




は?

なんか思いつめた様子。




「わたし、ちゃんとできるって言ったのに……っ」




カバンから取り出したポーチの中から、青依ちゃんは大事そうに何かを取り出した。




あ。


オレが預けたipod。


彼女はそれをギュッと握って、悲しそうに言った。




「消えちゃったの」


「え?」


「元入ってた曲、全部」



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