今夜、きみの手に触れさせて
「え……」
「ネットで調べながら、ちゃんとその通りにしたつもりなのに、なぜだかうまくいかなくて、元々あったファイルが無くなってしまったの」
「つーことは、」
「入ってた曲が全部消えちゃって……」
それから青依ちゃんは、おもむろにカバンからノートを取り出すと、それを開いた。
「昨日聴いて知ってた曲を書き出してみたの。
でもちょっとしか思い出せなくて……」
「…………」
「純太くんはもっとわかる? 歌詞の一部だけでも教えてくれたら、検索して曲名を調べるよ?」
開いたノートのページには、曲名とアーチスト名が何行か並んでいた。
キレイな文字で書き出されている。
「わたし、レンタルしてきて、もう一度入れ直すからね……!」
青依ちゃんは深刻な顔をして、一生懸命にそう言った。