今夜、きみの手に触れさせて


「こいつのファンなの?」


聞くと、青依ちゃんは真っ赤になってしまった。


「む、昔ね。今はあんまり興味ないけど」


なんて言いながら。




「アイドル曲とか、女子っぽい曲が多くて……。せっかく純太くん用のファイル作ったのに」


と、かなりヘコんでいる。




「選んで聴くからいーよ」


そう言って青依ちゃんの手から、またipodを取りあげた。


きっといろいろ調べながら、手間ヒマかけて入れてくれたんだと思う。




「ありがと」


「う、ううん。ゴメンね」




オレが笑うと、青依ちゃんは小さく首を横に振った。


まだ激しく落ち込んでいる様子。




フ、心の動きまでわかって、可愛い。



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