今夜、きみの手に触れさせて
「飯食ってきた?」
「うん」
「んじゃ、始めるか」
キッチンのテーブルにプリント集を広げると、青依ちゃんは迷わずオレの隣に座りに来た。
お。
そっか、教えてもらうんだもんな。
今日は青依ちゃんが来る前から、クーラーつけて部屋を冷やしておいた。
いそいそと待ってる感じ? 自分でもウケる。
「青依ちゃんさー、塾サボったでしょ」
隣に座る彼女に言葉を投げてみた。
「え」
途端に顔が赤くなる。
「行かなくていーの? ホントは塾で勉強あんだろ?」
「こ、ここでするから……いい」
「できる? オレ、世話やけるぜ?」
わりとマジに聞いてみた。
「大丈夫。人に教えるのって、いい復習になるから。それに純太くんが問題解いてる間は、わたしもちゃんと自分の勉強をするし」
なんて、青依ちゃんはカバンから問題集を取り出した。