今夜、きみの手に触れさせて


「飯食ってきた?」


「うん」


「んじゃ、始めるか」




キッチンのテーブルにプリント集を広げると、青依ちゃんは迷わずオレの隣に座りに来た。


お。


そっか、教えてもらうんだもんな。




今日は青依ちゃんが来る前から、クーラーつけて部屋を冷やしておいた。


いそいそと待ってる感じ? 自分でもウケる。




「青依ちゃんさー、塾サボったでしょ」




隣に座る彼女に言葉を投げてみた。


「え」


途端に顔が赤くなる。




「行かなくていーの? ホントは塾で勉強あんだろ?」


「こ、ここでするから……いい」


「できる? オレ、世話やけるぜ?」


わりとマジに聞いてみた。




「大丈夫。人に教えるのって、いい復習になるから。それに純太くんが問題解いてる間は、わたしもちゃんと自分の勉強をするし」


なんて、青依ちゃんはカバンから問題集を取り出した。



< 328 / 469 >

この作品をシェア

pagetop