今夜、きみの手に触れさせて
「ごほうびは?」
それならそれでこっちも甘えてみる。
「ごほうび?」
「うん。宿題がんばったごほうび」
シレッと言ってやった。
青依ちゃんはキョトンとしている。
『キ・ス』
口の形だけでそう告げると、指先で自分の唇をちょんと指した。
それから目を瞑って、じっと待つ。
…………。
沈黙。
だろーな。
きっと青依ちゃんは、ボワッと真っ赤になって固まっているはずだ。
イジワルはやめて目を開けてやろーとしたとき、オレの頬に青依ちゃんの指先が触れた。
え?
唇に微かにとまる……淡雪みたいなキス。
一瞬で溶けてしまったその感触を失いたくなくて、オレは思わずその手首をつかんだ。
もう一方の手で、離れようとする彼女の頭を後ろから押さえる。
ずっとガマンしてた分、
ゴメン、余裕ねー……。
柔らかな唇を貪るように塞いだ。