今夜、きみの手に触れさせて
ガラリッ……。
ほぼ全員が席に着いて、先生が入ってくるのを待っているタイミングで、入口の引き戸が開いた。
ん?
前川先生じゃなくて、男子……かな?
中に入って来ないから、よく見えない。
「ここ、何組?」
抑揚のない声が先に入ってきた。
え、この声……?
「1組だけど?」
一番前の席の女子が答えている。
「1組……。ん~、修吾いる?」
そう聞き返して姿を見せたその人は、
じゅ、じゅ、純太くん……っ?
す、すごい。制服姿だ。
長袖のカッターシャツを袖まくりして、前ボタンは3つ目くらいまで開けている。
中から白Tが見えてるもん。
ズボンは少しローウエスト気味で、でもシャツの裾は一応中に入っている。
ソフトに着崩してる感じ、かな。
制服姿の純太くんは眩しくて……
他の人とは全然違って見えた。
なんで言ってくれなかったんだろう?
まさか学校で会えるとは思ってなかったから、うれしくってドキドキしてくる。