今夜、きみの手に触れさせて


あ。


ドキ……!


め、目が合った。




純太くんが目をそらさないから、段々と顔が熱くなってくる。


不機嫌そうな純太くんの顔が、フッと微かにほどけた。




『キャッ! い、今、矢代、笑ったよね。わたしたちのほう見て笑った?』

『うん。笑顔かっわいー! キュンとした!』


後ろの女子たちが騒ぎ出す。


えーと、わたしの後ろが御堂さんで、その横が谷町さん。




『でもホントにわたしたちに笑いかけてくれたのかな?』

『そーに決まってない? だって周り、女はウチらだけだし』


え?


『しーっ。悪いよ。前に月島さん座ってるって』

『へ、月島さん?』


ナイよ~、という声が小さくなり、後はしばらく密やかな笑い声が続いた。




わたしと純太くんの組み合わせって、そんなに笑っちゃうほど、ありえないんだ……。


そう思うと恥ずかしくなってうつむいてしまい、純太くんに笑顔が返せなかった。


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