今夜、きみの手に触れさせて


そのあと講堂で始業式がとり行われる。




式が終わり、ぞろぞろと教室へ戻る途中、純太くんを見つけた。


修吾くんたちと連れ立って歩いている。


てゆーか、5、6人でにぎやかにしゃべっている輪の中に、ひとり黙って混じっていた。


やっぱりちょっと不機嫌そう……。


「おー、来てんじゃん」


他のクラスの仲間たちから発見されて、大声をかけられてもガン無視してたから。




「行こっ、青依」


一緒に歩いていた律ちゃんが、不意にわたしの手を取り、グイグイと進んでいく。


大勢の人をかき分けて、純太くんたちの真後ろまで引っぱってってくれた。




ちょうどヤスくんが、隣の純太くんに話しかけたところ。


「ろっ骨どうよ?」なんて言われている。


そのヤスくんの問いには直接答えず、純太くんはボソッと低くつぶやいた。




「帰りてぇ……」




それを聞いたヤスくんがプハッと吹き出す。


「お前、もー疲れたのかよ」


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