今夜、きみの手に触れさせて
一緒に帰るのを渋ったから、怒ってるのかな?って、ちょっと思ったけれど、それはないみたい。
ツンケンするでもなく、
前みたいに不機嫌そうとゆーのでもなく、
純太くんはとっても自然にクラスに馴染んでいった。
まるでわたしのことなんか、忘れてしまったように……。
「ねぇねぇ、矢代くんって、ちょっとカッコいいよね」
「うん! もっとコワイ子かと思ってた」
「この前なんか、ペンを落としたら矢代くんが拾ってくれてさ~。お礼言ったらニコッと笑ってくれたんだ」
御堂さんたちだけじゃなくて、女子の間で純太くんの人気は急上昇中だった。
普段はそうでもないけど、ときどきパッと笑顔が咲いて、胸がドキッと惹きつけられる。
たぶんみんなも、きっとそう……。
わたしは2年生のときしか知らないけど、こんな明るい感じの純太くんを、学校で見たことはなかったな。