今夜、きみの手に触れさせて
「青依~、先お風呂入ってよ」
「は~い」
塾から帰って、少し休んでからお風呂に入った。
それから自分の部屋に行って、机に向かう。
それが日課。
宿題だけはちゃんとやることにしているんだけど、このごろはあんまり集中できてないな。
純太くんのことばっか考えいている。
ここ2日、純太くんとは目も合っていない。
むしろ避けられている気すらしてくるのは、被害妄想かな?
今日こそは電話をかけてみよう。
毎晩そう思ってるんだけど、勇気が出ない。
もう11時を過ぎているから、ケータイじゃない家の電話にかけるには、非常識な時間だよね。
それを理由に今夜も持ち越し。
これが最近の日課。
ブィーン、ブィーン、……。
と、そのとき机の上のケータイが震えだした。
ディスプレイを見てドキッとする。
点滅表示は『矢代クン』
う、うわっ、純太くんだ……!