今夜、きみの手に触れさせて


「昨夜遅くに、隣のクラスの男子がUPしたらしいよ、この画像」


御堂さんの言葉に、頭の中が真っ白になる。


「家族の車で出かけた帰りに、偶然通りがかったんだってさ」


「そ……う」


「路上で人目も気にせずイチャついてるカップルを見つけて、いたずらで激写したら知ってるやつだったって話」


御堂さんが薄く笑った。




「矢代の顔ははっきり映ってんだけど、女のほうがね~」


そう言いながら、御堂さんはスマホの画像を指で拡大させていく。


息がつまって声が出ない。




「ほら、自動車のライトが反射して白くなっちゃってるでしょ? だから誰だか、よくわかんなくて……」


御堂さんの目線が手元を離れ、わたしの顔をチラッと見た。



「これ、月島さん?」



まともに、そう聞かれる。




「えっ、あっ、ま、まさか」


思わずそう答えていた。



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