今夜、きみの手に触れさせて


「だよね~」


御堂さんは隣の谷町さんと目を見合わせる。


「誰かが『月島さんに似てる』って言い出して、そう言われると髪型も背格好もそっくりだねって話してたんだけど……」


「いやいや、月島さんがラブホなんか行くわけないっしょ」


横から谷町さんがそうかぶせてきた。


ラブホ……。


確認すると、画面の端に、ラブホテルの入り口の電飾がしっかりと映り込んでいる。




『あの子、矢代くんに遊ばれてんじゃない?』


そのとき、遠巻きにこっちを見ている人たちの中から声がした。


『しっ、聞こえちゃうよ』


『だって、そうでもなけりゃ矢代くんと月島さんの組み合わせなんてありえないし』


『そりゃそーだけど』


わざと聞こえるように言われてるのかもしれない。


言葉のトゲが胸に刺さる。




「ち、ちがうから。わたしじゃないから」


とりあえず御堂さんたちにはそう言って、話を終えた。


だけど声は震えているし、顔は……真っ赤だ、たぶん。


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