今夜、きみの手に触れさせて
「ウゼーし」
カチッとケトルのスイッチがあがって、沸いた湯をカップに注いだ。
それからヤスにゆるりとケリを入れとく。
「よ、純太。帰ったか」
そこへ修吾がやってきて、ニカッと笑った。
北見修吾。こいつが一等ウザイやつ。
「自分ちだからな、帰るに決まってんだろ」
つっけんどんにそう言うと、
「いきなり噛みつくなよ」
と肩をポンポン叩いてきた。
この距離感がまずウザイ。
「あっ、純太、またカップめんなんか食ってんのか? おばさんが冷蔵庫に何か作ってくれてんだろ?」
やつが眉をひそめる。
「食うよ、それも。ときどき」
「ときどきじゃなくて、いつも食えって」
とわかったような口をきいた。
お前んちと一緒にすんな。
「うちはときどき食うくらいがちょうどいいの」