今夜、きみの手に触れさせて
「きっと青依ちゃん誤解してんぞ。今すぐ戻って弁明して来い。まだそこらへん歩いてんじゃね?」
バカ笑いしたあと、ヤスがそう言ったけど、それはやっぱNGだと思った。
だってあの画像を見たやつは全員、オレがその女の子とホテルに行ったと思い込んでんだろ?
てことはオレが青依ちゃんに近づいたら、あの子まで白い目で見られちまう。
あんなに純情で真面目な子が、男とホテル行ってると思われるなんて、かわいそすぎるだろ。
それに……。
「なんだよ、優しくて、誠実で、頭いーライバルくんが気になってんの?」
ヤスが鋭く突いてくる。
「つーかな、ピッタリすぎんだよ、青依ちゃんに。スゲーいーやつなんだ、そいつ」
オレがポソッとそう言うと、ヤスはあきれた声を出した。
「お前さー、どーにかしろよ、そのあきらめ体質」
ヤスがグーで、オレの肩をドゴッとやった。