今夜、きみの手に触れさせて
「はぁ? 当ったり前でしょ、もう3年通ってるし」
懐かしいなぁ、上から来るこの感じ。
修吾が唯一恐れる存在だもんな。姉、美晴。プフ。
「あんたこそちゃんと学校行ってんの?」
「うん。行ってる行ってる」
オレの向かいにドカッと座ると、美晴ちゃんは速攻でテレビのチャンネルをドラマに変えた。
「あ、観てた? さっきの番組」
変えてから言う。
「いや、全然」
逆らうと100倍になって返ってくるから、基本言いなりになっとくのが、修吾に教わった鉄則。
「そーだ、美晴ちゃん『神夜透』ってわかる?」
そうそう。思い出して聞いてみた。あの子が何曲もipodに入れてくれていた歌手だ。
「って、アイドルの?」
「うん。どんなやつだっけ?」
ちょっと興味があった。
「なんで?」
「えっと、彼女が……ファンらしい」
オレがそう答えると、美晴ちゃんは目を輝かせた。