今夜、きみの手に触れさせて
「あっはは、その子の理想が透ちゃんだとすると、純太とつきあってること自体、完全に間違っちゃってるからね」
美晴ちゃんが笑い飛ばしたけれど、まさにそう。
「わーってるよ、いちいち言われなくても」
オレがムクれると、おばちゃんがなぐさめてくれた。
「あら、純くんだってすっごくイイ男よ。優しくていい子だし、少しタイプが違うだけよねぇ」
「プッハッハ、お母さん、それフォローになってないって~」
美晴ちゃんはひとりでウケている。
そー言えば青依ちゃんは言ってた。
『思ってたのと違った』って。
あの子はいったいオレのどこをどう思って、つきあってくれたんだろーか……。
「だいたいさぁ、透ちゃんなら女子のわがままも笑って聞いてくれそうだけど、純太って自分がわがまま言う側でしょ? そこ、致命的に違うからね」
美晴ちゃんはなおもブラックなことを言い続ける。
「っせーし」
「あーっ、透ちゃんはそーゆー言い方、絶対にしないね。だから泣いちゃうんだよ、彼女」
な~んて知らないくせに言う。
しかも当たってる……。