今夜、きみの手に触れさせて
「はっ?」
修吾の顔色がサッと変わる。
そんな修吾を見て、おばちゃんと美晴ちゃんがクスクスと笑っていた。
「てっめー、ブッ殺すぞ」
修吾がガバッと、オレを振り返る。
「ハハ、内緒にしてたなんて知らねーもん」
「お前なー、わざとバラしたんだろーがよ。知っちまったら、うちの家族は、会わせろってきかねーんだからな」
「ハハハ、紹介してやれって」
オレが笑うと、観念したのか修吾ががっくりと肩を落とした。
「キャラ濃いんだって、うちの親父。ねーちゃんはオレの恥ずかしい話ばっか暴露するし、かーちゃんはセンスのないおやつ出してくるしよー」
「それでとやかく言う子じゃねーんだろ? 彼女」
なだめるように言うと、修吾はコクリとうなずいた。
「オレが恥ずかしーだけ」
プッハ。
すると向かい側からおっちゃんの手がヌッと伸びてきて、修吾の頭をポカッとやった。
「親に向かって、なんだ、その言い方は」
学校ではデカい顔してるけど、家じゃあ、ただの末っ子のいじられキャラだからな、修吾は。