今夜、きみの手に触れさせて

家に帰ると、珍しく母さんが料理を作って待っていた。




「先食っときゃいーのに」


「今日早帰りできたから、カレー煮込んでたのよ。純太と一緒に食べようと思って」


「あー、うん」


「もう、食べてきちゃった？」


「いや、まだ……」


オレがそう答えると母さんの表情がパッと明るくなった。




「ほら純太、コロッケ乗っけて食べるの好きでしょ」


「あ……」


コロッケトッピングの大盛りカレーライスが、テーブルの上にデンと乗る。


う。


おばちゃんのカレー２杯食ったもんな。


なんでか可哀想になって、母さんのも無理しておかわりしてみる。


こ、これぐらいだからな。オレのちっぽけな器量でできることって。ウップ。




食後、肉を食い過ぎたモンキー・D・ルフィみたいになって椅子にもたれていると、母さんがお茶をいれてくれた。