今夜、きみの手に触れさせて
こっちは今ここに集まってんのが10人弱。
しかもマジで尖ってるのは、竜一とタケシぐらいで、あとはオレを含めてカッコだけだからな。
みんな身なりを崩したり、アウトローでいたいってのはあるみたいだけど、
カツアゲしたりバイク乗り回したり『喧嘩上等!』って雰囲気ではない……かな。
もちろんみんな気が強いし、目立つから、他校の不良と揉めることは今までもあったけど。
でも、その場で殴り合いになる程度だ。
そうそう、うちは修吾が強いから、なんとなく他校からも一目置かれてるんだった。
「修吾が来ないんだから、その分人数集めなきゃなんねーんだよ」
竜一が吐き捨てるようにオレに言った。
へー、修吾は行かないんだ?
修吾のほうを見ると、やつと目が合う。
「なぁ竜一、オレが柔道部引退するまで待ってよ」
修吾はオレではなく竜一に言った。