今夜、きみの手に触れさせて
「え、行かねー」
「なんでだよ?」
「殴り合いとか、イテーもん」
オレがそう言うと、竜一は「ハー……」と長いタメ息をついた。
「平気なのか? 自分の学校の仲間がやられてんのに」
「そーゆーのは各自自衛するってことでよくない? オレ、ケンカ弱いしさ」
横向きに寝転がったまま片ひじをつき、みんなのほうを仰ぎ見る。
「は? 学校ぐるみでやられてんだぞ。悔しくねーのかよ?」
他の誰かがあきれたように言った。
「だったら学校の先生に相談しろよ」
体勢をうつぶせに戻し、またマンガの本に手を伸ばす。
「先公なんか当てになるかよっ」
「だったら警察な」
めんどくさくなってそう言うと、オレはまたマンガを読み出した。