今夜、きみの手に触れさせて


終業式の日――。


学校は午前中に終わり、午後からは律ちゃんと塾の自習室に行く約束をしていた。


学校の宿題を早めに片づけちゃおうって計画。


なんて真面目なんだ、わたしたち。


『夏休みは最初が肝心だよ? ダレると、とことん行っちゃうからね!』


律ちゃんは気合が入っている。


きっと北見くんとうまくいってるんだね。





お昼ご飯を食べた後、自転車で塾へ向かう。


途中、お母さんに用事を頼まれて郵便局へ寄ったから、ずいぶん遠回りになっちゃった。


急いで自転車を走らせていると、ポツッと一粒、雨粒が顔に当たった。




ゴロゴロゴロ……。


遠くで雷が聞こえる。


と、見る間に空が暗くなって、雨がバラバラバラバラッて振り出したんだ。




わ、ゲリラだ、ゲリラ。


大粒の雨が、すごい勢いで叩きつけてくる。


わたしはあわてて道沿いのコンビニに自転車を停め、店内に飛び込んだ。


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