今夜、きみの手に触れさせて
心臓が……ドキュンと鳴った。
心が一瞬で引き寄せられる。
あんな顔初めて見た。
あどけなくて、子どもみたいな笑顔。
か、可愛い……!
プフフ、逆上したヤスくんに追いかけられて、
矢代くんはバシャバシャと走ってる。
あ、今、おしりに蹴りを入れられた。
それでもふたりともゲラゲラ笑っていて……
え? こっちに駆けてくる?
他の子たちもみんな引きあげてきて、わたしの目の前にある窓の向こうに、後ろ姿がずらりと並んだ。
自販機の缶コーヒーでも飲みながら、店の軒下で雨宿りするらしい。
わ……。
矢代くんの背中が、ちょうどわたしの真ん前にあった。
その距離は、ガラスを隔ててほんの1メートルぐらい。
手を伸ばせば届きそう……。
ド、ド、ドキドキするよぉ……!