今夜、きみの手に触れさせて
歩き出した背中に声がかかる。
「青依ちゃ~ん。今度勉強教えてね~!」
「オレも~」
「オレも~」
口々にそう言われたから、振り返ってバイバイって手を振った。
矢代くんは向こうを向いたままだったけど……。
バイバイ、矢代くん。
また会えるといいな……。
またいつか……会えるの、かな?
気づいてしまった恋は、
きっと見ているだけの恋だから、
見ることもできないのは、やっぱつらい。
また会いたいよ……。
見あげた空に、そう願った。