今夜、きみの手に触れさせて
へらへらとヤスが戻って来たから、ヒョイと足を引っかけてやった。
「わっ、危ねーな。何すんだよっ」
「別に? さっきの続きだろーが」
しれっとそう言ったら、ヤスは「ふ~ん」とわざとらしくうなずいた。
それからピンクのタオルをひらひらとさせる。
「青依ちゃんが貸してくれたんだよね~」
なんつって、そのタオルで濡れた髪や顔を拭いだす。
「あ、純太も使う?」
「いらねーし」
オレがそう答えたら、隣のやつがヌッと手を出した。
「貸して。オレも拭く」
そう言って、そいつは顔だけじゃなく、Tシャツの中までゴシゴシやっている。
なんか……ヒジョーに不快だ。
「何怒ってんだよ、純太」
「別に。全然」
ヤスがニヤついてるから、イラッとくる。