今夜、きみの手に触れさせて
「夏休みの宿題の量、ハンパねーよな~?」
雨が止んでも、みんなはそのままここでくっちゃべっていた。
「あのプリント集見た? すげー分厚いの。五教科の先生が力を結集して作ったって感じ」
「でも、あれさえしっかり押さえたら、オレらでも高校行けるって、センコー言ってたぜ。わかんねー問題はつぶして、覚えてねーのは覚えて……」
「マジかよ。がんばろーかな、オレ」
ダルそうにしてるけど、こいつらもそれなりに受験生ってワケだ。
「大丈夫、大丈夫。時代は少子化なんだから、選ばなけりゃ高校くらい行けるって」
「いや、選びたいだろ、フツー。こえーヤツがうじゃうじゃいる学校とか、ヤダし」
「お前が言うな」
なんて口々に騒いでいる。
「ヤス、マジでさっきの子と知り合い?
月島だっけ、頭いーんだよな? オレ、わかんねーとこ教えてもらおっかな?」
タケシがマジ顔で言った。