【完】恋愛条件
『…あ』
「今頃思い出したのかよッ」
そうだ、あの時蓮に会っていて…
゛お前、名前は??゛
゛朱祢!茅原朱祢!゛
帰りに名前も名乗ってたなー…
でも、あれから引っ越して行く暇なくって、あれ以来にゃんこにも蓮にも会ってない…
『じゃあ、にゃんこがキューピットだね!』
にゃんこと構っていなければ蓮に好かれる事も無かったし、話せなかったかもしれない。
「なぁ?」
『ん?』
「それより、返事は??」
ズイッと顔を私に寄せる蓮に、ドキッと心臓が跳ねた。
そうだ、私…、自分の気持ちを伝えなきゃ。
『えっと…』
「…」
でも、本人を目にして緊張してきた。
どうしよ…ッ
「いいよ」
『え?』
゛いいよ゛って何が??
胸が締め付けられて不安になる。
「困らせて悪かったな…」
『…ッ』
スッと立ち上がり私に背を向けて謝罪の言葉を口にした。
違う、違うのに…
どんどん遠ざかる蓮の背中を私は止めたくって立ち上がった。