【完】恋愛条件
いつか、お互いに離れ離れになって…
違う誰かを好きになって…
この想いも簡単に消えてしまうのだろうか…
―…放課後
朝とは違って帰りはいつも一人。
自転車に乗って門をくぐった時に見覚えのある奴が視界に入った。
目の前で自転車を止めるとそいつは俺に気づいて顔を上げた。
「なーに、やってんだよ。雫」
「淳くん!」
満面の笑みで自転車に乗ったままの俺に飛び付いて来たのは、
静香の妹…雫。
「あのね!今日、シロの誕生日だから家に来ない?!」
「犬に誕生日なんてあんのかよ…」
シロとは静香の家で買ってる雑種の犬。
雫は家族の中で一番にシロを可愛がっていた。
「まぁ、用事ないからいいけど…」
「やったー!さっそく家にゴー!!」
「ちょっ!!おいっ!!」
俺がOKを出すなり、雫は自転車の後ろに跨って乗った。
たく、行動力は一際早いなぁ…
「ほれ、行くぞ」
「わーい!」
後ろでハシャグ雫に注意を促してペダルを漕ぎ始めた。
「…淳、…雫」
遠くで静香が見ていた事も知らずに…