【完】恋愛条件
その後の事はあまり覚えていない。
気づいたら全力で人気のない所にいた。
振り向いても蓮の姿はなかった…
少し期待してた、追いかけてきてくれるんじゃないかって…
『私、バカじゃんっ』
こんなに好きなのに、不安で押しつぶされる前に逃げ出して。
『…っ』
声を押し殺して泣いた。
「…茅原??」
自分の名前を呼ばれて、急いで涙を拭いて前を見ると見慣れた姿。
『和也…く…ん…』
そこには和也くん、ただ一人がいた。
「何、泣いてんの…っ」
私の泣き顔を見て険しい表情で言った。
でも、正直に話せない私は答えずに俯いた。
「…蓮はどうした!」
『…、蓮は…』
゛女の子と楽しそうに笑ってる゛
なんて言えない私は下唇を噛んだ。
「まさか、泣かしたの…蓮っ?」
無言の私を見て図星だと思った和也くんは怒りに満ちた顔をして私の横を通り過ぎようとした。
だが、私は必死に腕を掴んで止めた。