【完】恋愛条件
「あらあら、まだトラウマが抜けないのね」
先生は蓮を見てクスクスと笑った。
ト…、トラウマ??
「はい、体温計で計ってね
私、ちょっと職員室に行ってくるから」
『わかりました…』
トラウマの事が何なのかわからぬまま、保健室から出る先生の背中を見送った。
「少し、手握れ」
『はい?』
「いいから握れッ」
強引に私の事を隣に座らせて手を繋いだ。
蓮は握った手を見てから体温計を脇に挟んだ。
『ねぇ、トラウマって??』
「!!」
私にトラウマを聞かれてなのか、体をビクッと震わせた。
「保健室に来ると思い出すんだよ」
『何を??』
「小さい頃、注射された記憶が出てくるんだよ」
これでもかってほど、顔を真っ赤にして俯き最後は語尾が聞こえないぐらいだった。