軟派な王子様【完結】
色の白い肌に栄える薄付きのピンクの唇が色っぽく、長い黒い髪の毛が美しく風に靡いている。
ほっそりした足と、長い手。
華奢な肩がなんともかわいらしい。
大きく輝いた目が、真っすぐにこちらを見てくる。


「あの…あなたのじゃないの??」


我に返った俺は携帯を手にとる。


これは俺のもんにしてやる!!


「かわいいお嬢さんだ。学校帰り??」

「はっはい。」


返事をしたのはもう一人の女のほうだった。

お前じゃなーい!!!


「信号…。」

「え??」

「変わっちゃいますよ。」


そういい残して彼女は冷たい顔のまま行ってしまった。

「えっ、ちょっまっ。」

片方の女もちょこっと頭を下げ、走って彼女の元に駆け寄っていってしまった。

俺は…


初めて女を目で落とせなかった…。



それどころかまともに話も出来ていない。



あの冷静で微動だにしない目と表情。

俺を見つめる女の目じゃない。

完全に敗北した。


あの歳であんなに女を感じさせるなんて信じられなかった。


出会ったことのない自分の中の感情が騒ぎ出す。
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