軟派な王子様【完結】
「翔!?翔じゃない!!こんなとこで会えるなんて!!」


その声は俺の腕に纏わり付いて来た。

「誰だっけ??」

「何言ってんのよ。あの時あたしを抱いたのは誰だと思ってるわけ??」


その長い髪のルージュをつけた女は口を尖らせていった。

俺の記憶にはもうない。



「ね!!また遊びましょうよ!!ここで会ったのもなにかの縁じゃない!!」

「離れろよ!!」


しつこい女は俺の腕から離れない。



俺の前にひどい殺気を感じたのはその直後だった。


「何が…」


「一姫、あのその、これは…。」


撤回する余裕などなかった。


「何が俺以外の男と一緒にいないでだって!?」


一姫の声はいつも以上にどすがきいていた。

そして顔はこれでもかというほどの形相を浮かべている。
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