軟派な王子様【完結】
「いい加減にしてよ!!こうやってあたしをおもちゃにして楽しいわけ!?そんな暇があるなら他の女のところで遊んでなさいよ!!あたしはもう懲り懲り、あんたなんて大嫌いよ!!顔も見たくない!!」



一姫は怒鳴り散らして俺から走っていった。

最後のほうはもう泣きそうな顔をしていて…

声が震えていて…



改めて俺の心を貫く一姫を笑わすことが出来ない自分の情けなさ。


「離せって言ってんだよ。」



俺の死んだ声に、腕に纏わり付いていた女が怯えた顔で離れた。

俺は一姫を追い掛けることが出来なかった。


一姫が走っていってしまった直接の原因は急に入り込んで来たこのわけのわからない女かもしれない。


でも…



やっぱり俺が悪いんだ。

結局は俺は傷つけることしかできない。


一姫だけじゃない。


この女だって、俺がいつか抱いて汚したんだ。


知らぬまに…。
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