軟派な王子様【完結】
でもその一姫がどんな顔をしているのか、どんな様子でいるのかわからなくて…。


不安で…
悲しくて…



一姫に会うのはこれが最後なのに…顔もまともに見れないなんて…。

目頭の奥で熱い涙がじわじわと湧いてくる。



一姫…







「馬鹿!!!!!」

辺りに児玉す、叫びに似た声だった。
それは紛れも無く一姫の声。

最後まで一姫は俺を馬鹿だと言う。
そうだよな。

多分俺は世界一の馬鹿だ。
「私の…っけ…よ…。」


雨の音が一姫の言葉を邪魔する。

「え??」


すると、今まで握っていた一姫の手が俺の手を握り返した。

「私の負けだって…言ってんのよ!!」


一度目とは裏腹に響き渡るような声。


夢のようなその響きがいつまでも俺の胸に残る。

「あんたの逆転勝利。」



俺の…


勝ち…??



どういうこと…??



「翔が…」


その瞬間。

俺は意識をなくした。












「好き。」
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