軟派な王子様【完結】
彼女は俺の顔を見るなり何故かさっさと帰ろうと向きを変えた。


素直じゃねーなー。



俺は彼女の前に立ち塞がる。


「お嬢さん。俺のこと覚えてる??」

「……。」


眉間にシワを寄せる彼女はどこか怒っているようにも思える。


「あの、あたしに何か用ですか。」


つんつんとした口調がますます俺をそそる。



「君にもう一度会いたくて。」

「は??」


「俺は安西翔。商社の代表取締役。君は??」



辺りは俺の言葉に騒然となる。

「社長さん!?」
「かっこよすぎ!!」



「何であたしが見ず知らずの男の人に自己紹介なんかしなきゃいけないわけ!?」


「この子一姫っていうんです!!数字の一に姫って書くんです!!ちなみにあたしは香織です!!」


「ちょっと香織!!」




まったくおしゃべりなやつだ。
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