軟派な王子様【完結】
私はやっとの思いで屋上に辿り着いた。
屋上には日が調度よくあたり、心地のよい春の風がそよそよと吹いていた。
高揚する気持ちを落ち着かせようと私は屋上の真ん中で大の字になった。
空にはぽっかりの中心に穴の開いたドーナッツ型の雲が一つ、ぽつんと浮かんでいた。
なにも私がこんなにムキになることもなかったかな…。
今更ながら、小さな後悔に似せた恥ずかしさが込み上げて来た。
その時、私の隣にもう一つの大の字が現れた。
隣を見ると、空のドーナッツを笑顔で見つめる香織がいた。
「皆ちょっと物珍しかっただけよ。許してあげて。」
香織がずっと大人に見える。
「うん。」
私はすぐに頷いた。
「でもさー。なんで一姫はそんなに男の人が嫌いなの??」
香織が相変わらず空を見上げたまま言う。
香織のその素朴な疑問に、私は遠いあの日を思い出すことになる。
屋上には日が調度よくあたり、心地のよい春の風がそよそよと吹いていた。
高揚する気持ちを落ち着かせようと私は屋上の真ん中で大の字になった。
空にはぽっかりの中心に穴の開いたドーナッツ型の雲が一つ、ぽつんと浮かんでいた。
なにも私がこんなにムキになることもなかったかな…。
今更ながら、小さな後悔に似せた恥ずかしさが込み上げて来た。
その時、私の隣にもう一つの大の字が現れた。
隣を見ると、空のドーナッツを笑顔で見つめる香織がいた。
「皆ちょっと物珍しかっただけよ。許してあげて。」
香織がずっと大人に見える。
「うん。」
私はすぐに頷いた。
「でもさー。なんで一姫はそんなに男の人が嫌いなの??」
香織が相変わらず空を見上げたまま言う。
香織のその素朴な疑問に、私は遠いあの日を思い出すことになる。