軟派な王子様【完結】
呆れた。


助けてくれた彼を少しだけ見直してしまった自分に…。



時計は11時半を過ぎている。

私は足を家路につかせようと一歩を踏み出した。

「それは無理だ。」


「は??」


私は振り返るしかない。


「俺はお前を俺の女にしなきゃ気が済まねー。」


私の背筋がぞっとする。

「なっ何言ってんの??」


暗闇の中、一つの街灯が、翔の姿をスターライトのように照らし出す。

その姿はとても美しく、まるでフランスを優雅に闊歩する貴公子のようにうつる。


気の乱れを感じた私は頭を振る。

「お前は今までに見たことがない女だ。五ヶ月後。ちょうど夏の終わり。それまでにお前を落として見せる!!もし、お前が俺に落ちたら、お前は俺のもの。落ちなかったら…俺は二度とお前の前に姿を現さない。」

翔は口元に含んだ笑いを見せた。

明らかに私を馬鹿にしてる。



こんなお子様な賭け事に乗っちゃダメだ!!
毅然とした態度で、流さないと。
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