軟派な王子様【完結】
落ち着いた口調で昇君はさらっとかっこいいことを言う。


「ありがとう。昇君はとってもいい人ね。どっかの誰かさんとは大違いだわ。」

「え??」


思わず口にした言葉に私はすぐに口をつぐむ。


「ううん。こっちの話。じゃぁ、今日の練習場所、ホールだからよろしくね!!」


昇君はまたさわやかに去って行く。


世の中のすべての男がああいう人だったらいいのに…。





「一姫〜。」

後ろから身の凍るような冷たい声。

「なっ何よ。」


香織は私に腕を組んだまま詰め寄る。

その迫力に私は身をのいてしまう。



「あんたも罪な女よねー。」

「なにがよ。」


私はバイオリンをしょい直して昇君のコピーした楽譜を持った。









































「昇君、どうして一姫なんか好きになったんだろ。」





































私の手のものがすべて落ちる。
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